ネーミング考20230612

クラウドソーシングとかココナラでネーミングをしています。ありがたいことに、何件か採用していただいています。ここで、現時点での自分なりのネーミングの考えをまとめておくために書いていきます。

ネーミングで大切なのは音

ネーミングで一番気をつけていることは音です。どう聞こえるのか?口にした時に気持ちいい音か?そういったことを一番意識しています。社名にしろ、商品名にしろ、これから先、その名前は数えきれないほど口にされるものです。たとえ目で追っているだけでも、人は頭の中で音をイメージします。

 

音が気持ちよければ、口にしたくなります(または書きたくなる)。そうすれば、口コミされやすくなっていきます。もちろん、前提は良いサービスですが、ネーミングが良ければ、サービスが効率よく広まっていくというわけです。

クライアントの思いと消費者の思い

当たり前ですが、クライアントの皆さんは、自身のサービスや会社に熱い思いを持っています。サービスや会社にいろいろなイメージを持っていて、それを消費者の人に全部伝えたいと思っているわけです。その気持ちはとても良くわかります。ただ・・・

 

ネーミングを考える立場としては、消費者の人にどう思われるかを一番に考えています。特にサービス名や商品名であれば、クライアント3:消費者7くらいの割合です。そのサービスや商品がどういったものかが直感的にわかるように心がけています。

 

これが社名であれば、もっとクライアントの思い・理念・哲学を全面に出していいと思います。『Apple』とかなんのこっちゃ?って感じですからね。でも社名であればOKではないでしょうか。

造語を作るのは難しい

そういったクライアントの思いを伝えるために造語を考えるときもあります。しかし、これがとても難しい。やっぱり音・語感に違和感が生まれてしまうのです。上手な造語を見ると尊敬してしまいます(ユニクロとか)。その点、一般名詞は耳慣れているというところでメリットがあります。『alphabet』『LION』などなど・・・なので、割と一般名詞を提案することも多いです。

 

ただ検索のことを考えると一般名詞は弱いです。また、「造語で作って」というクライアントさんもいます。その辺はケースバイケースの部分もあります。

 

実例で言うと、あるシェアリングサービスのネーミングで『KURUMI(くるみ)』と提案しました。最初のはshare、economyや地域密着サービスということで、local、areaなんかを組み合わせていました。街とmatchの音が似ているので、そのへんも面白いですね。

 

ただ、いまいちピンとこない。そして、いろいろと類似サービスを見ていると、外国語由来が多いわけです。なので、あえて日本語由来でいけばフックになるのではと考え、そこで『KURUMI』としました。

 

『KURUMI』はもちろん「胡桃」、そして「包む(くるむ)」、「地域ぐるみ」などの「ぐるみ」からとっています。短くて、読みやすいというのがポイントです。日本語由来の一般名詞だとそこが強い。そして、なんとなく温かみや丸さを感じるかと思います。

KURUMIの温かさ

なぜ「くるみ」という音に温かさを感じるのか?まずは「包む」という動詞からの影響。この「包」という漢字も、何かを包んでいるイメージが湧きます。ひらがなでも「る」と「み」には丸い部分があります。そして「胡桃」からは、胡桃の種の匂いや味。そして、案外Mr.Chirdrenの『くるみ』が思い浮かぶのではないでしょうか?

 

つまり「くるみ」という文字の並びと音は、そういった五感を刺激してくれるのです。そして「る」音が入ることで丸みを感じることができます。何より「る」と発音している時、私たちは舌を丸めています。これは英語でも同じで、rollとかに当てはまります。当てはまらないものもありますが、語感というのは言語を超えて重なる部分も多いです。

AI以後のネーミング

さて生成型AIが話題です。AIが簡単にネーミングも作れてしまう時代になるでしょう(もうなってる?)。ただ、今のところ生成型AIには適切な指示が必要で、つまり、質問者に依存しています。これは、顕在化しているニーズにしか対応できないということです。

 

唯一人間が生成型AIに(今のところ)優っているものとすれば、この部分だと思います。クライアントの潜在的なニーズを呼び覚ますこと。だから、思わぬ発想が出てくるわけです。

 

ネーミングは面白い作業です。いろいろ言葉の勉強にもなります。ぜひ、興味を持ったら初めてみてください。あなたの作ったネーミングを見せてほしい。