S・キング『書くことについて』

今週のお題「最近おもしろかった本」

 

最近読んで面白かったのが、S・キングの『書くことについて』です。

キングが、自らのキャリアを振り返って書いた文章読本になっています。

書くことについて ~ON WRITING~ (小学館文庫)

 

本の半分は文章術で、もう半分はキャリアの振り返りという感じの内容。

 

キャリアに関しては、子供の頃から、学生時代。そして、苦しかった下積み時代を経て、小説家として食べていけるようになるまで・・・のはずが、1999年にキングの遭った大事故のエピソードが後書きに追加されています(実はこの本を書き上げるのに、だいぶ苦労をしていたらしい)。

 

キングのことはよく知らなかったので、映画原作のイメージが先行していました。

そのため順風満帆なキャリアを送ってきたのかと思ってましたが、当人(とその家族)にとってみれば、かなり追い詰められていた時期もあったようです。

 

キングは早く結婚して、子供も2人いたため、高校の講師やシーツ洗いをしながら小説を書いていたそう。この時期は、子供の薬も満足に買えないなど、かなり辛かった様子がうかがえます。

 

そんな辛かった時期を乗り越えることができたのは、キングの才能と共に妻・タビーの支えがとても大きかったようです。まさに二人三脚で、今のベストセラー作家の地位を築いたと言えるでしょう。

 

文章術については、英語と日本語の違いはありますが、それでも参考になる点はいくつかありました。キング曰く、

・たくさん読み、たくさん書く

・文章は簡潔に

・受動態はなるべく使わない

・副詞もなるべく使わない

などなど。特に受動態への恨みは相当なものです。

 

とにかく読みやすくて面白い。

400ページほどありますが、まさに「読んでいることを忘れさせる」ような読書体験でした。

これは編集者(と訳者)の力量でしょう。

これを読んだら、小説が書く技術がつく以上に、書く勇気が湧いてきます。

 

キングは言います。「書くことは魔法なのだ」と。

その意味で、私もあなたも立派な魔法使いなのです。

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