S・キング『ミスト』の思い出
S・キングの本のついでに思い出したのが、映画『ミスト』のこと。
当時付き合っていた彼女と観にいきました。
キングの小説は読んだことがなかったけど、映画は何本か観ていました。
『スタンド・バイ・ミー』『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』など。
このへんを観ていたから、キングはヒューマニズム作家と思っていたわけです。
だから『ミスト』も感動ものなのだろうと思って、彼女を誘いました。
ところが内容はSFホラーもので、私も彼女もホラーは苦手。
どんよりとした気分で映画館を出たのを覚えています。
でも、後から知ったのですが、彼のこれまでの作風に近いのは『ミスト』の方なのですね。
『シャイニング』や『IT』、『キャリー』も彼の原作だと知っていたら、多分観に行かなかったです。
映画会社もその辺のことをわかっているから、ポスターに出した作品は『ショーシャンクの空に』と『グリーンマイル』だったのでしょう。『シャイニング』や『IT』ではカップルは来ない気がします。
キングをヒューマニズム作家だと誤解していたように書きましたが、年齢を重ねて分かったことは、本当に誤解していたのは、私のヒューマニズム観だということでした。
つまり、人間の中には美しい部分もあれば醜い部分もあるということ。
優しさや愛情もあれば、狂気や恐怖もある。諦めや後悔もある。
その清濁あわせ持った人間を、キングは描きたかったのだろうなぁと今なら思います。
最近、Amazon primeで見返しました。
宗教的なテーマが入っているのかなぁなんて思いながら観ました。
原作の『霧』が書かれたのが1980年ということで、70年代後半からのアメリカの失速と先行き不透明感を、霧が象徴しているのでしょうか。
そう考えると、あの未知の生命体は急成長していた日本?
その生命体を世界に引き込んでしまった「アローヘッド計画」は貿易自由化のこと?
なんて変なことを考えてしまいました。
年齢が違うと、同じ作品でも感想がぜんぜん違うものになるのは面白いですね。